弐零零玖 ロストスクリプト第三回配給作品 デジタライズド・ゲームブック#3
[作品概要]
 
5分(弱)でわかる? デジタライズド・ゲームブックの遊び方

※ジョウント番号が000と表示されているのは、開発中のバージョンを使用しているためです。
本編では正常に分岐先が表示されます。
また他にも、演出等が製品版とは相違する場合があります。


また、デジタライズド・ゲームブックの紹介は前作にも詳しいぞ


[ストーリー]

 ──それ[・・]は、永らく世の耳目から遠ざけられていた。
 衛星軌道上からは、時折平地の覗くなんの変哲もない森としか見えない地だった故だろう。
 時折、山菜を摘みに奥へと分け入る老人が行方不明になることもあったが、捜索隊が出るときもそこが発見されることは無かった。
 そういう地である。


 視ようと思わねば視えない。
 真夜中にふとみたデジタル時計のゾロ目のように、否応なしに記憶にこびりつく数字もあれば、憶えようと思わなければ憶えられぬ数字もある。
 手に持った携帯の、ディスプレイに映るテキストまで読める軍用衛星と、その衛星が吐き出したデータから人工物を読み取るプログラムが無ければ、ここもまだ来訪者を迎えては居なかったかもしれない。
 そういう地である。


 カメラがズームする。
 成層圏に入り、雲を突き抜け、道々をゆく車両などか視認できる段になって……そこから大きく外れた山あいに、それは見えてくる。
 やがて地面ギリギリまでに降りたカメラがそのままグン、と曲がり地を這うように進む。
 背の低い草木をかき分け、映像が進む。



 やがて、大きな磐座[いわくら]が──みえてくる。
【磐座】
仏教の隆盛により仏閣が建ち、神道もまた社殿を以て神を祀るようになった。
しかし古来、祭祀は自然における象徴的な場所を以て神を迎えるための依り代とし、
神籬[ひもろぎ]を行うものだった。
代表的なものが、巨大な自然石などをそれと見立てた“磐座”である。


 夜の風が、まるで魔魅[あやかし]の嘶[いなな]きのように吹いている。
 その嘶きに撫でられた、山間の平地にある小さな丘に、夜の闇に浮かぶ巨石の群があった。
 配置はフランス、ブルターニュ半島のカルナック列石群を思わせる。
 大きさも配置もバラついてはいるものの、1メーター前後の立石がある程度規則的に並んでいるその風景は、まるで戦争映画に出てくる墓地のような印象を受ける。


 違うのは、立石それぞれには意匠が施された跡は無く、そのバラつきの幅が大きいこと。
 ひと口に“バラつき”とはいっても、石の中には3メーターを超えるものもある。
 これでは“岩”だ。
 列石の線の交わる中心部には、なかでもひときわ巨大な、鏡餅のような岩がひとつあった。
 そして、その岩の上に躍[おど]る影が──ふたつ。


 ツインテールの少女と、黒髪眼鏡の男。
 それが切り抜かれたような夜空の下、月明かりに照らされ浮かんでいる。
 少女は先端が三叉に岐[わか]れた大仰な槍を。眼鏡の男は両手にトンファーを装備しており、背中をあわせ何者かに対峙しているようだった。


 と、岩上の影がその数を増した。
 五つ、六つ、七つ……。
 元居たふたつの影にジリジリと距離を詰めようとするその動きからするに、どうやら彼らの味方ではあるまい。
 ぎこちなく、どこか人間離れした雰囲気をまとったその影達が、数を増しながら次々と集まってくる。


「気をつけてください カザト……!」

 先に声をあげたのは男だった。
 その服装はこの状況下にあって、場違いとしか思えぬフォーマルなスーツ姿。
 だが不思議と不自然さはない。
 眼鏡のフレームに月明かりが反射し、男の知的な印象を際立たせている。


「って簡単に言うけどさー。こいつらもぉー次から次とぉ……!」

 呆れたような口調でカザトと呼ばれた少女が応え、ぼやく。
 少女は少女で、まるで何処かの制服のようなブレザー姿だった。
 如何なる逆説的な異化効果なのか。
 所謂[いわゆる]ツインテールにまとめられた白銀の髪と鮮やかな藍色の制服とが月明かりの下に舞う様は、これも妙に堂にいっており不思議と違和感はない。

作品概要

「一体、なんなの、よッ……キヨタ!」

 その印象はふたりがあたりまえのように、怖気づいた様子もなく戦っているが故だろうか。
 少女がもうひとりだと思われる名を叫びながら、槍を振るう。
 一瞬、閃光と衝撃が走り、次の一瞬後には眼前の敵数名がなぎ払われている。


 呼ばれるまでもなく、キヨタと呼ばれた男がカザトの攻撃の間を縫うように動いていた。
 右手のトンファーで敵の攻撃を受け流し、残った片手を一閃。
 相手を殴り倒す。
 敵は不自然に潰れ、体液を撒き散らし巨石から滑落してゆく。
 そこは、妙に不自然だった。
 いかにそのトンファーが強力だとしても、生きた人間の損壊の仕方ではない。


 それを見送った後、視線をカザトへと戻すキヨタ。

「無論、喰屍鬼[グール]です。──お判りかと思っていましたが?」

 少女が頬をふくらませる。

「あほう! ナニが[デタイユ]じゃなくってッ。
 ナンでこんなトコにいるのか[レゾンデートル]を聞いてるんだっつーの! わかれ!」


「要は──墓守でしょうね」
「はかもりぃ?」
「ええ」

 動じず、眼鏡のブリッジを指で押し上げ、無表情に男が応える。
 次の瞬間、その指先の延長線上にトンファーの棍が回転し現れた。


 薄く固い骨が砕ける音と共に、少女に襲い掛かろうとしていたグールが吹き飛んでゆく。

「それよりまずは……掃除が先でしょう。カザト」
「わかってるっちゅーの。余計な指示よこの童貞ッ」
「指示のつもりはありません。提言です。それに」

 またも喰屍鬼が吹き飛ぶ。

「私のそれ[・・]はあなたに奪われました。だから私はそうではない[・・・・・・]。ご存知でしょう」

 つとめて無表情に言い返す。が、カザトは動じない。


「魂的に童貞とゆーか。ムダに本気[ムキ]になるトコが童貞ちっくなのよねー。
 それにさ、ヒマさえあればクリストフェルぅ〜。コサチぃ〜て。
 女々しいアタリもやっぱしドウテイ」
「そ、そんなコトはいっていません!」

 初めて、キヨタが動揺らしきものを見せる。カザトがニヤリと笑った。

「言ってるよー。寝言とか。イッヒッヒッヒッ」


「……!? ま、まさかあなたはヒトが寝ている間に……」
「ウソウソ、嘘だってば。ジョーダン。キヨタ君イッツジョーク。寝てる間にナイショで襲ったりしてませーん」

 両手を挙げて振るカザト。
 が、その口元の笑みは先刻と同じままだ。

「あなたという人は……!」

 いい争いながらも不思議と、周囲の喰屍鬼は着実に倒されてゆく。


[体験版]

■蠅声の王 シナリオU 体験版 (09/05/22 発行 09/6/2改訂1版)

まずは、新録されたボイスとともに、前作のおさらいも含んだ体験版のプレイがオススメ!
上の大バナー、及び画面上部の「Download」ページへ飛ぶことで、
体験版のダウンロードが可能だ。

[製品概要]
■タイトル 蠅声の王 シナリオU
■ジャンル デジタライズド・ゲームブック
■ブランド LOST SCRIPT
■発売予定日 2009年06月26日
■価格 8,800円(税込み9,240円)
 
■原画 vanilla
■シナリオ 大槻涼樹
■音楽 たくまる
■美術 獏プロダクション
■開発協力 TOPCAT
 
■JANコード 45 40333 00010 1
■ソフ倫受理番号 002642
[動作環境]
■対応OS Microsoft Windows 2000/XP/Vista 日本語版
■CPU PentiumV 500MHz(必須) / PentiumV 800MHzHz以上(推奨)
■メモリ Windows2000 128 MB以上 / WindowsXP 256 MB以上
Windows Vista HomeBasic 512MB以上
Windows Vista HomeBasic以外のエディション 要1GB以上
■HDD 約1GB
■グラフィック 800×600ドット ハイカラー(必須)
VRAM 8MB (必須) / VRAM 16MB以上 (推奨)
■サウンド Direct Sound対応のもの
■備考 DirectX8.1以上
要ホイールマウス
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